名前も知らない、顔も浮かばないあなたへ。
昨日の読売新聞の編集手帳にはこんな一文があった。
『思えば、見ず知らずの人に安らぎをもらえるコミュニケーションが以前はあった』
ああ、なるほどな。
満員電車で器用に小説を読むサラリーマン
流暢な日本語でTポイントカードの有無を聞いてくるコンビニの店員さん
ボタンを押してエスカレーターのドアを開けて待っててくるお姉さん
「重いので気をつけてくださいと」声をかけてくれる配達のお兄さん
空いているレジに誘導してくれるおばちゃん
花屋に並ぶスーツ姿のおじちゃん
改札付近で別れを惜しむカップル
この一文を読んだ時、次の日には忘れてしまっていた数々の日常の光景が目に浮かんだ。
名前も知らない顔も思い浮かばない、あの人たちに私は元気をもらっていたんだ。
SNSのおかげで、いつでも誰かと繋がれるから特別不便も寂しさも感じていない。だけど今は決して繋がることはないであろう、名前も知らない顔も思い出せない人たちが恋しい。
誰だかわからないから、お礼を言うことはできないんだけど、多分これを読んでくれてるあなたのこと。あなたの日常がめぐりめぐって私の日常を彩ってくれていました。だから言わせてください。ありがとう!あなたの毎日を生きていてくれてありがとう!
そして、私たちの”新しい”日常を守り支えてくださっている全ての人に感謝を伝えたい。
ありがとう。本当にありがとう。